【民泊最前線 第8回】民泊規制緩和の現状整理と過去の規制緩和政策との比較

コラム

2016/05/23


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4月から民泊に関しては、国の規制(面積要件)が緩和されます。

また、民泊サービスのあり方検討会においても、営業日数の制限など条件付きではあるものの、規制緩和の動きが顕著であり、今年から来年にかけて、いよいよ、民泊が、本格的にビジネスとして市民権を得るようになってくると思います。

 

そんな、民泊サービスの幕開けに向けて、政府の「規制改革会議」、「民泊サービスに関するあり方検討会」では活発な議論が交わされ、今後の方向が見えてきたように思えますが、閣議決定前にここで現状を整理してみました。

 

◆民泊サービスにおける政府の動き

そもそも「規制改革会議」と「民泊サービスのあり方に関する検討会」とは何か?
日本の政府においては、内閣府「規制改革会議」と厚生労働省・観光庁が主催する「民泊サービスのあり方に関する検討会」が実効性を持っています。規制改革会議とは、内閣府に設置された審議会で、総理大臣の諮問を受け、規制改革を進めるための調査・審議を行い、総理大臣答申することなどを行う機関で、平成25年1月23日に設置されました。

 

一方、「民泊サービスのあり方に関する検討会」は観光庁と厚生労働省が合同で開催している検討会で、平成27年11月27日に第一回目の会議が開催されています。

 

両社の立場としては、政治主導の規制改革会議に対して、官僚主導のあり方検討会といった具合で、具体的には、内閣に政策に政策提言する規制改革会議に対して、政策を実現するための実際の手続きを検討するあり方検討会といった感じでしょうか。

 

5月19日、規制改革会議では民泊について、次のような答申を行いましたが、ポイントは大きく3つありますが、規制改革会議もあり方検討会もほぼ同様の見解を示しています。基本的には、平成28年度中に新法法案を国会に提出(おそらくは通常国会ですから年明け早々ということでしょうか)

●家主居住型(ホームステイ型)民泊の解禁と一定の要件(180日の日数制限)
●民泊施設管理者(代行業者)の登録制
●仲介事業者の登録制


1. 家主居住型(ホームステイ型)民泊の解禁について

家主のいるタイプの民泊については、住宅とみなし、「届出制」により営業を認める方針です。

つまり、旅館業法上の宿泊施設ではなく「住宅」扱いとするため、旅館業法や建築基準法上の制限が大幅に緩和されることとなります。具体的には、設備はそのまま、用途地域の制限(住居専用地域や工業地域でも民泊が可能)も受けません。

ただし、届出制については、主に以下の要件を満たす必要があります。
① 個人の生活の本拠である(原則として住民票がある)住宅であること。
② 提供日に住宅提供者も泊まっていること。
③ 年間提供日数180日以下という「一定の要件」を満たすこと。

 

このうち、年間提供日数の要件が最も重要で、この制限を受けると年間フル稼働することが困難となります。実際にどのように運用するのかはわかりませんが、フル稼働したいのであれば、旅館業法が適用される営業形態(簡易宿所やホテル)の許可を取得するべきということになります。

 

2. 民泊施設管理者(代行業者)の登録制

いわゆる代行業者については「登録制」とし、以下の事項を義務化するとのことです。

① 利用者名簿の作成・保存
② 衛生管理
③ 利用者に対する注意事項(騒音、ゴミ処理等を含む)の説明、苦情等対応など
④ 管理規約違反や賃貸借契約違反がないかの確認
⑤ 行政当局(保健所、警察署、税務署など)への情報提供


このうち、最も重要なのは、⑤の行政対応だと思います。

つまり、民泊施設管理者を通じて、民泊施設の場所や所有者等の情報を行政が把握するというもので、業者を通じて、施設を指導・監督できるという制度設計です。

イコールフッティング(条件同一化)の観点から、おそらくは、民泊施設管理者が代行する民泊施設についても日数制限がかかると思われますので、民泊施設の営業が法令(新法)に違反した場合は、新法又は旅館業法の規定を適用して処罰するのではないでしょうか。
現行の旅館業の罰則規定は軽いので、併せて罰則規定が強化されると思います。
当然、行政処分として、法令違反行為を行った場合の業務停止、登録取消も考えておく必要があります。


3.仲介事業者

「Airbnb」や日本の「とまれる」、中国の「住百家」などの民泊のマッチングサービスを行う仲介業者は登録制とし、以下の事項を義務化するとのことです。

① 消費者の取引の安全を図る観点による取引条件の説明
② 当該物件提供が民泊であることをホームページ上に表示
③ 行政当局(保健所、警察署、税務署等)への情報提供

無許可(届出がない)民泊、年間提供日数上限など「一定の要件」を超えた民泊を取り扱うことを禁止し、法令違反行為を行った場合の業務停止、登録取消を可能とするとともに、不正行為への罰則を設けることとしています。
なお、国内法人のない運営主体については、金融商品取引法にならい「実名公表」などを視野に入れているようです(あり方検討会で発言あり)

 

◆一定の要件の功罪(過去の類似例と今後の課題)

いずれにしても、制限付きとはいえ、6月から民泊については大きく動き始めると思います。一定の要件である『日数制限』については賛否両論がありますが、ホテル旅館業界と不動産業会の思惑は異なり、両者の意見は対立しています。既得権を守りたいホテル旅館と空き部屋を活用して参入したい不動産業会とは、意見が折り合わず、正直どちらが正しいともいえません。

そこで、少し古い話ですが、14年前のタクシーの規制緩和が今回の民泊解禁と酷似していると思います。
若い世代は記憶にないかもしれませんが、14年前(平成14年)のタクシーの参入規制の緩和は、それまでのタクシーの台数規制を撤廃して、参入を容易にしたものです。このときに許可制から登録制に変更されました。

この結果、過当競争が激化しましたが、ドライバーの質の低下(東京では台数を増やしたため、全国からドライバーを雇用したため東京の道を知らないドライバーが続出)、規制緩和直後は事故発生率が増加(当時私も乗車中に事故に合いました)、料金は思ったほど下がらないばかりかむしろ値上がりしています。

 

そして、平成18年をピークに規制緩和前よりもタクシーの台数は減ってしまい、現在は昭和55年の水準を下回るほど台数が減ってしまいました。もちろんドライバーの年収も減少しています。都会はまだしも地方では激減していますから、今になって白タクを特区で認めようという動きもあります。

 

結局、こうした台数の増減、業界再編の中、消費者はタクシー離れを起こしマーケットは縮小してしまいまいましたので、一体だれが得をしたのかよくわかりません。

 

今回の民泊の規制緩和も許可制→届出制の流れなので、ある意味タクシーとそっくりです。

ただし、一つ違うのは「一定の要件として日数制限」によって、完全に自由化しないというところです。日数制限により過当競争を抑制しようとする意図があるのかもしれませんので、経済政策としては、よく考えてみると評価できるのかもしれません。

未知数ですが、多少は過去の教訓が生かされるかもしれません。
インバウンド主要を取り込みたい民泊事業者や不動産業界には民泊の完全自由化を求める声が多いと思いますが、タクシーの教訓から必ずしも市場原理に任せるのが最善の策とは思えないところです。

タクシーに限らず、ショッピングセンターの建設を規制する大規模小売店舗法の廃止にも見られますが、結局のところ、勝ち残ったのは大企業と一握りの新規参入者だけで、シワ寄せは、労働者や利用者が負っているような気がします。

民泊も一歩間違えば、タクシーの二の舞になってしまう危険性をはらんでいます。
過当競争が激化して困るのは、実際には事業を営んでいる事業者です。その意味で、ホテル旅館と民泊事業者は同じ側の立場であるともいえますから。皆さんもこの辺りを真剣に考えてみてはと思います。

執筆者 ふじの行政書士事務所 行政書士 藤野慶和(東京都大田区)

事務所ホームページにも民泊に関するブログを多数掲載中です。


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